○尾三消防本部集団救急事故活動要綱

平成6年2月14日

尾三消防本部要綱第3号

第1章 総則

(目的)

第1条 この要綱は、地震等の自然災害、電車の脱線、衝突、転覆、航空機の墜落事故、ガス爆発及びその他の災害又は事故で、局地的かつ短時間に多数の傷病者が発生し、通常の出場体制では対応できないもの(以下「集団救急事故」という。)を対象として、消防部隊の効率的な運用と関係機関との密接な連携を保持しつつ、総合力をもって迅速かつ安全に傷病者の救出救護を図ることを目的とする。

第2章 運用基準

(運用基準及び対象災害等)

第2条 この要綱の運用基準及び対象災害等は、次のとおりとする。

(1) 運用基準

 傷病者が10人以上発生した場合

 その他消防長が必要と認める場合

(2) 対象災害等

 地震等の自然災害

 電車、航空機、自動車等の関係する大規模交通事故

 危険物、ガス及び劇毒物等の爆発、流出、漏洩等の事故

 大規模な建物、工作物の倒壊事故

 その他人為的原因又は自然現象に起因して集団的に傷病者が発生したもの

(出場区分及び応援要請)

第3条 消防長は、事故の通報内容又は現場報告等によって集団救急事故と判断される場合は、別表第1に掲げる出場区分に基づき、直ちに出動指令を下命するものとする。また、災害状況に応じて必要な特命出場指令や消防相互応援協定に基づく応援要請を行うものとする。

第3章 現場指揮本部

(現場指揮本部)

第4条 集団救急事故時には、現場指揮本部を設置し、現場指揮本部には、「現場指揮本部」の標識を掲出するものとする。

2 現場指揮本部は、災害現場で最も適した場所に速やかに設置するものとする。

3 現場指揮本部の編成及び任務は、別表第2及び別表第3のとおりとする。

4 現場指揮本部の設置に必要な資機材は、別表第4のとおりとし、指定された場所に保管し、資機材搬送車等で搬送する。

第4章 活動

(活動の原則)

第5条 現場活動においては、警察、付近の医療機関及びその他の関係機関と連絡を密にし、傷病者の効率的な救護にあたるとともに、救急活動においては、傷病者の適切な選別を行い、重傷者を最優先として必要な応急処置を実施した後、それぞれの傷病者に適した医療機関へ搬送することを原則とする。

(出場隊による措置)

第6条 出場隊は、別表第5で示す編成にしたがい、主に次に掲げる活動を行う。

(1) 災害発生場所、原因、傷病者及び要救助者の数等災害状況の速報

(2) 二次災害発生危険の有無の確認

(3) 傷病者の救出救護

(4) 災害(事故)現場における警戒区域の設定、後着救急隊等の進入路及び退出路の確保

(5) 状況に応じた救急指揮所及び応急救護所の設定

(救急指揮所及び応急救護所)

第7条 集団救急事故時には、救急指揮所及び応急救護所を災害現場の最も適した場所に設置し、救急指揮所及び応急救護所には、「応急救護所」の標識を掲出するものとする。

2 応急救護所は、カラーシート等によって区域を明示し、別表第6に定める重症度分類によって傷病者の搬送位置を指定しておくものとする。

3 救急指揮所及び応急救護所の編成及び任務は、別表第7のとおりとする。

4 救急指揮所及び応急救護所の設置に必要な資機材は、別表第8のとおりとし、指定された場所に保管して、資機材搬送車等で搬送する。

5 救急指揮所の指揮者は、現場指揮本部の活動方針に基づき、応急救護所の円滑な運営及び現場に出場した医師会の医療班(以下「医療班」という。)との連携を図り、効率的な救護活動を行うものとする。

(各隊の活動)

第8条 各隊の活動は、次のとおりとする。

(1) 救急隊

 現場は、著しく混乱することが予想されるので、現場指揮者の指示により統制ある行動により活動する。

 傷病者の搬送にあたっては、受付分類責任者との連絡を密にして行う。

 搬送隊長は、傷病者に標示されているトリアージタッグに必要事項を記入し、1枚目(災害現場用)を切り取り救急指揮所指揮者に提出する。

 搬送隊長は、傷病者を医療機関に引き渡した後、速やかに応急救護所へ引き返し、トリアージタッグの2枚目(搬送機関用)を救急指揮所指揮者に提出する。

 搬送隊長は、現場指揮者に当該医療機関の収容状況等の情報を報告し、次の指示を受け活動する。

(2) 救助隊

 傷病者の救出、救護及び二次災害の防止にあたる。

 重篤、重症者の救出にあたっては、医療班と連絡を密にして行う。

 救助隊は、救出、救護完了後は、現場指揮者の命令に従い活動する。

(3) 消防隊

 救助隊と協力し、傷病者の救出、救護及び二次災害の防止にあたる。

 歩行不能な傷病者は応急救護所まで担架により、また歩行可能な傷病者は介添歩行又は避難誘導を行い、受付分類班を介して指定の場所へ収容する。

 消防隊長は、救助者の状況を現場指揮者に報告する。

 重篤、重症者を搬送する場合は、医療班に指示を求め搬送する。

 警戒支援隊を編成してロープ等により警戒区域を設定し、立入りの制限を行う。

 必要に応じて災害現場及び傷病者搬送路の照明作業を行う。

 その他現場指揮者の命令に従い活動する。

(傷病者伝票と傷病者の取扱い)

第9条 傷病者の重症度による分類(トリアージ)は、応急救護所に収容した傷病者に対してトリアージタッグ(第3号様式)により表示する。

2 トリアージタッグの処理は、別表第9に示す要領で行い、所要事項の記入については、次のとおりとする。

トリアージタッグ

担当

記載事項

1枚目

応急救護所救急隊

○トリアージ区分を行い、モギリ部分の処理を行う。

○傷病者及び担当機関の同定に関する判明事項を記載する。

○収容医療機関、搬送号車名等を記載し、1枚目(災害現場用)を「救急指揮所指揮者」に提出し搬送する。

2枚目

搬送救急隊

○搬送先医療機関において、傷病名及び1枚目の未記入事項について調査記載して2枚目(搬送機関用)を持ち帰り、「救急指揮所指揮者」に提出する。

○救急指揮所指揮者は、1枚目と2枚目を照合し、必要に応じて現場指揮本部に報告する。

3枚目

病院担当班

○搬送先医療機関において、傷病者に表示してあるトリアージタッグ(収容医療機関用)の未記入事項を調査記入して持ち帰り、消防本部で整理・保管する。

3 トリアージタッグの具体的な記載内容及び記載要領等は、次のとおりとする。

記載事項

記載内容及び記載要領

氏名、年齢、性別、住所、電話

傷病者の同定に関する記載項目については、外国人の家族や本人が記載することも想定し、これらの項目については英語を併記する。

(性別にあっては、○印を付ける。)

タッグのNo.

トリアージ実施月日、時刻

トリアージ実施者氏名

担当機関の同定項目

搬送機関名

搬送機関名

(尾三消防本部○○救急隊)

収容医療機関名

収容医療機関名

(○○病院、○○診療所)

トリアージ実施場所

トリアージを行った場所を記載する。

(災害発生現場・広域避難場所等の名称)

トリアージ区分

軽処置群(Ⅲ)、非緊急治療群(Ⅱ)、最優先治療群(1)、死亡及び不処置群(0)

(モギリ部分と同じトリアージ区分に○印を付ける。)

トリアージ実施機関

トリアージを行った者が所属する機関名を記載する(尾三消防本部○○救急隊、○○病院、その他)

(トリアージを行った職種のうち医師・救急救命士その他の3種から選択し○印を付ける。)

症状・傷病名

傷病者の症状(創傷、骨折、出血等)又は医師による初診時の傷病名を記載する。

特記事項

観察(バイタルサイン、血圧等)、処置(止血、気道確保、人工呼吸等)及び搬送(体位、保温等)時に必要となる事項のほか、傷病者の救出場所、服装等の特徴その他必要となる事項を記載する。

人体図

負傷部位等必要となる事項を記載する。

4 緊急度分類による搬送医療機関の選定は、原則として次のとおりとする。

順位

搬送医療機関

第1順位

第3次医療機関(救命救急センター等)へ搬送するものとするが、心肺蘇生を継続している傷病者等緊急に救命措置を必要とするものは、直近の医療機関へ搬送し応急処置を受けた後、適応医療機関へ搬送する。

第2順位

第2次医療機関(総合病院等)へ搬送する。

第3順位

第1順位、第2順位の傷病者の数と医療機関の収容能力を考慮しその他の適応医療機関へ搬送する。

第4順位

原則として搬送活動は行わない。

第5章 情報体制

(関係機関との連絡)

第10条 指令担当責任者は、現場指揮者と密接な連絡を図るとともに、消防相互応援協定に基づく隣接消防本部、医療機関及び県市町村並びにその他の関係機関との連絡を行う。

2 自衛隊への災害派遣要請は、災害発生市町の消防・防災担当課に依頼し、当該市(町)長から愛知県を通じて行う。

3 災害現場への医療班の出場要請は、原則として医師会を通じて行うものとする。

(報告及び広報)

第11条 現場指揮本部は、各責任者から随時情報を取りまとめ、逐次、現場指揮者へ報告し、情報管理の万全を期すものとする。

2 住民に対する広報は、災害現場における二次災害及び活動による危害防止を重点に、情報担当等が拡声器(車両搭載を含む。)等を活用して、状況に応じて行うものとする。

なお、消防活動終了の場合も広報を実施するものとする。

3 災害に関する情報は指揮支援担当責任者が管理し、報道機関に対する広報は、次の要領で行う。

なお、必要に応じて報道機関の収集した情報の提供を求めるものとする。

(1) 災害現場で発表する場合

 発表場所は、現場指揮に支障のない位置とすること。

 事前に発表場所と時刻を予告すること。

 災害の救護活動とともに、段階的に発表すること。

 発表内容は、確実な情報のみとし、統一を期すこと。

(2) 指令課に照会のあった場合

災害現場で発表された広報資料に基づき、すでに広報された内容についてのみ発表すること。

第6章 雑則

(訓練)

第12条 消防長は、この要綱の円滑な運用を期するため、関係機関の協力を得て、毎年1回以上集団救急事故対策に関する訓練を行うものとする。

(その他必要な事項)

第13条 この要綱に定めるもののほか必要な事項は、消防長が別に定める。

附 則

(施行期日等)

1 この要綱は、平成6年2月14日から施行する。

2 集団救急事故時の救急救護活動計画(昭和62年尾三消防本部策定)は、廃止する。

附 則

この要領は、平成6年4月1日から施行する。

附 則

この要綱は、平成7年4月1日から施行する。

附 則

この要綱は、平成8年4月1日から施行する。

附 則

この要綱は、平成9年1月1日から施行する。

附 則

この要綱は、平成10年3月3日から施行する。

附 則(抄)

(施行期日)

1 この要綱は、平成10年12月1日から施行する。

附 則

この要綱は、平成13年6月8日から施行する。

附 則

この要綱は、平成15年4月1日から施行する。

附 則

この要綱は、平成16年4月1日から施行する。

附 則

この要綱は、平成17年4月1日から施行する。

附 則

この要綱は、平成22年1月4日から施行する。

附 則

この要綱は、平成24年2月23日から施行する。

附 則

この要綱は、平成25年3月1日から施行する。

附 則

この要綱は、平成30年4月1日から施行する。

附 則

この要綱は、令和3年4月1日から施行する。

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別表第2(第4条第3項関係)

集団救急現場指揮本部の編成

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備考 第1次出動体制における対応組織は、支援本部責任者が指揮支援を行う。

別表第3(第4条関係)

集団救急現場指揮本部の任務

担当

任務

現場指揮者

○ 現場指揮本部、救急指揮所及び応急救護所並びに出動各隊の総括指揮を行う。

○ 状況に応じて、医師会の医療救護班、自衛隊等の出動要請を行う。

現場副指揮者

○ 現場指揮者を補佐し、本部付け各担当及び各隊の任務指定及び統括指揮補助を行う。

指揮作戦担当責任者

○ 現場指揮者を補佐し、救急指揮所及び応急救護所の総括運営及び指揮にあたる。

指揮支援担当責任者

○ 現場指揮本部の指揮支援及び活動隊の総括的支援のため指揮にあたる。

○ 報道機関の対応を総括する。

支援本部責任者

○ 指揮支援担当責任者を補佐し、活動隊の後方支援及び側面支援を総括する。

庶務担当責任者

○ 指揮支援担当責任者の指示に基づき、災害現場における救急救護活動に必要な資機材の調達及び集結を行う。

情報担当責任者

○ 指揮支援担当責任者の指示に基づき、災害状況の早期把握を行い、情報収集活動を行うとともに、災害速報(第1号様式)により、速やかに消防本部に報告する。

○ 収集した情報は、指揮支援担当責任者に集中すること。

指令担当責任者

○ 消防本部と災害現場(搬送救急隊を含む)の通信を行い、災害及び活動の経過を記録するとともに、情報担当責任者と密接に連絡を図る。

救護担当責任者

○ 救急指揮所及び応急救護所の設営を行うとともに、指揮作戦担当責任者を補佐し、救急救護活動の指揮をとる。

病院担当責任者

○ 災害現場における傷病者状況を収集し、傷病者一覧表(第2号様式)を作成する。

○ 指令担当責任者及び救護担当責任者と密接な連絡を図り、適切な傷病者搬送医療機関を選定する。

○ トリアージタッグ(収容医療機関用)の最終整理を行う。

別表第4(第4条関係)

集団救急指揮本部用必要資機材一覧表

品名

規格

数量

テント(組立式テント)

2.67×3.55メートル

1張

長机

 

2脚

折りたたみ椅子

 

2脚

黒板

 

1個

腕章

本部長他各種

10枚

指揮本部標旗拡声器

車両積載物を使用

1本

照明器具

車両積載サーチライトを使用

 

災害広報板

 

1個

報告用紙(即報用)

 

20枚

傷病者一覧表

10人用

20枚

筆記用具

 

一式

警戒区域設定ロープ

50メートル

2本

バケツ

 

5個

雑巾

 

10枚

携帯無線機

車両積載物を使用

 

別表第5(第6条関係)

出動部隊活動表

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別表第6(第7条関係)

重症度分類表

順位

症状及び状態

備考

第1順位

○ 意識障害Ⅱ桁以上で呼吸・循環機能を伴うもの

○ 大出血

○ 重症ショック

・意識障害Ⅱ桁以上・蒼白冷感・チアノーゼ

・呼吸数(10回/分未満若しくは30回/以上)

・橈骨動脈で触知しにくい。

(50回/分未満120回/分以上)

・無尿

・血圧低下

(収縮期血圧90mmHg未満若しくは200mmHg以上)

○ 重症熱傷

・Ⅱ度30%以上

・Ⅲ度10%以上

・顔面気道熱傷との合併

・ショック症状のあるもの

○ 脊椎(髄)損傷

○ 全身打撲

○ 重症損傷(多発外傷)

○ 頭部・胸部・腹部・腰部の外傷

○ 呼吸困難(SPO2 90%未満)

○ 低体温(35度以下)

第2順位

第1順位以外の傷病者

第3順位

程度は軽症であるが、救急処置を必要とするもの

第4順位

死亡者

備考 赤・黄・緑・黒はトリアージタッグの区分

別表第7(第7条関係)

救急指揮所及び応急救護所の編成と任務

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編成

担当者

任務

備考

救急指揮所指揮者

所轄中隊長

1 応急救護所の円滑な運営を図るため指揮監督

2 現場指揮本部との連絡

3 トリアージタッグの管理

4 救急車・消防支援車の収容人員の調整

5 搬送先医療機関の指示

6 応急処置資機材の増強等に関すること

7 その他応急救護所の支援に関すること

現場にいる医師との活動上の連絡・調整

応急救護所指揮者

所轄外中隊長

1 応急救護所の運営及び管理

2 救急指揮所との連携

3 応急救護所活動隊の安全管理

4 その他応急救護所活動隊に関すること

現場に医師がいる場合は、協力を求める。

受付・分類責任者

所轄副中隊長

1 搬入傷病者の記録

2 トリアージタッグの表示

3 緊急度分類表に基づく搬送順位の決定

4 その他傷病者の分類に関すること

現場に医師がいる場合は、協力を求める。

救急処置責任者

所轄救急隊長

1 緊急度分類表に応じた救命処置

2 その他救命処置に関すること

現場に医師がいる場合は、その指示に従って処置を行う。

別表第8(第7条関係)

集団救急応急救護所必要資機材一覧表

品名

規格

数量

テント(組立式テント)

2.67×3.55メートル

4張

長机

 

1脚

折りたたみ椅子

 

2脚

応急救護所看板

 

1個

非常用担架

 

10基

保温用毛布

 

30枚

防水シート(カラー)

2.67×3.55メートル

5枚

トリアージタッグ

 

50枚

傷病者一覧表

10人用

20枚

携行缶

20リットル(清水)

5缶

ビニール袋

10枚入り

10枚

応急救護所設定ロープ

50メートル

4本

パイロン(三角停止板)

 

10個

筆記用具

 

一式

非常用救急資器材セット

 

2セット

収納バック(資器材・小物入れ)

40×60×40センチ

2個

収納袋(シート製)

40×90×60センチ

3袋

バケツ

 

5個

携帯無線機

車両積載物を使用

 

別表第9(第9条関係)

トリアージタッグの処理要領(その1)

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トリアージタッグの処理要領(その2)

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尾三消防本部集団救急事故活動要綱

平成6年2月14日 本部要綱第3号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
例規集別冊/第5編 救急関係
沿革情報
平成6年2月14日 本部要綱第3号
平成17年3月23日 要綱第3号
平成21年12月28日 要綱第6号
平成24年2月23日 要綱第3号
平成25年2月26日 要綱第2号
平成30年3月27日 要綱第1号
令和3年3月30日 要綱第3号