○尾三消防本部救命索発射銃取扱要領

平成25年7月4日

尾三消防本部要領第2号

(趣旨)

第1条 この要領は、尾三消防本部が所有する救命索発射銃の適正かつ安全な取扱について必要な事項を定めるものとする。

(概要)

第2条 救命索発射銃は、水災で中州に取り残された人や、火災で逃げ場を失った人に対し救助ロープを渡すために使用される救助器具である。

(緒元・性能)

第3条 ライフル型救命索発射銃(M―63型)の緒元・性能は次のとおりである。

発射銃

項目

緒元・性能

種別

ライフル型

形式

MG―6345

発射方式

高圧空気式

銃身長(mm)

450

全長(mm)

905

口径(mm)

63

本体質量(kg)

4.0

充てん圧力(MPa)

9~14

充てん量(cm2)

90

安全装置

引金

バレルリング回転式

耐圧力

安全板式

発射体(g)

ゴム弾

500

浮環弾

650

救命索射程

直径(mm)

3.5

長さ(m)

160

引張強さ(N)

980(100kgf)

達距離(m)

(無風時)

ゴム弾

約70~90

浮環弾

約60~80

主な用途

火災救助、水難救助

(構造)

第4条 この銃は、ライフル銃と同様に銃座を肩に当てて使用するもので、空気ボンベにより充てんされた高圧空気の力で発射体を飛弾させるものである。

(取扱要領)

第5条 発射体のひもに救命索を結着し、救命索収納袋を発射方向に対して発射位置より1~2m前方に置く。

2 銃中央にあるバレルリングを回し、凸部を刻印「S」に合わせ、安全装置が作動していることを確認する。

3 空気の充てんを次の要領により行う。

(1) 11.8~14.7MPa(120~150kgf/cm2)の空気ボンベを用意する。

(2) 充てんアダプターの雌ネジ側を空気ボンベの雄ネジ部に手で強くねじ込む。(空気漏れが生じる場合はスパナで軽く締める。)

(3) 充てんアダプターの高圧ホース先端にある高圧カップリングのソケット部を銃本体のプラグに差し込む。このとき、接続が確実か高圧ホースを引いて確認する。

(4) 充てんアダプターのニードルバルブが閉じていることを確認する。

(5) 空気ボンベのそく止弁を開きニードルバルブを徐々に開放し充てんする。このときの充てん圧力は、9~14MPa(90~140kgf/cm2)とする。

(6) 充てん圧力(9~14MPa)を確認後、そく止弁を閉じ高圧カップリングを外す。

4 銃口を斜め上方に向ける。(以後、発射完了まで銃口は上向きに維持する。)

5 弾体の下側を握り、弾体の下部を銃口にはめ、銃身内を自重により滑り落とすように装てんする。(浮環弾体は安全栓を抜き取ってから装てんする。)

6 バレルリングを回し、凸部を矢印「F」に合わせ、安全装置を解除する。

7 左足を前にし、銃座を右肩に当て、グリップを右手で、銃身を左手でしっかり持ち、重心をやや左足に掛け安定した姿勢で目標に向ける。

8 発射の合図で引金を一気に引き、発射する。

9 バレルリングを回し、凸部を矢印「S」に合わせ安全装置が作動していることを確認する。

(注意事項)

第6条 取扱時の服装は、次のとおりとする。

(1) 長袖上衣又は防火衣等を着装すること。

(2) 保安帽又は防火帽を着装すること。

(3) 防じん眼鏡及び革手袋を着装すること。

(4) 靴は、訓練靴又は防火長靴を履くこと。

2 銃の搬送等は、次のとおりとする。

(1) 銃が人の目に触れないよう、必ず銃ケース等に入れ搬送すること。また、車両で搬送する場合は、施錠のできる収納部に積載すること。

(2) 災害現場等において、車両に銃を保管して置くような場合は、銃ケース等に入れ毛布等で覆い、外部から一見して銃であることがわからないようにするとともに、車両の施錠、監視人を付ける等盗難防止を図ること。

(3) 救命索発射銃を携帯し、搬送する者は、当該銃に係る許可証を常に携帯すること。

3 暴発防止は、次のとおりとする。

(1) 発射体の装てん及び高圧空気の充てんは発射直前までしないこと。

(2) 発射まで時間のあるときは、安全装置を掛けておくこと。

(3) 高圧空気を充てんした銃の移動は、原則として行わない。

やむを得ず小移動を行うときは、安全装置を掛け銃口を下に向ける等十分な安全措置を講ずること。

(4) 発射時まで引金に指を掛けないこと。

(5) 銃口をのぞいたり、人に向けるようなことは、絶対に行わないこと。ただし点検・整備時を除く。

(6) 15MPaを超える圧力が入った場合は、空打ちし再度充填すること。(15MPaを超えて実射しないこと)

(7) 実射前に銃の動作を確認するため、空打ちを2発行うこと。(圧力10MPaにて)

4 発射時は、次のとおりとする。

(1) あらかじめ周囲を確認する等、人の生命、身体又は財産に危害を及ぼさないように注意しなければならない。

(2) 指揮者は、取扱者に対して発射目標の指示や発射合図を明確に行う。

(3) 発射方向は、風向、風速を考慮し設定すること。

(4) 発射する場合は、救命索が手や足等に絶対に触れないように注意すること。

(5) 発射による反動に注意すること。

5 救命索は、径が細く、引張り強さも大きくないことから、救助ロープとして使用しないこと。

6 保管は、次のとおりとする。

(1) 銃は、管理が十分にできる場所に保管すること。

(2) 銃の管理設備は、次によること。

 堅固な金属製ロッカー又は同等以上の構造であること。

 施錠ができること。

 容易に持ち運びができないこと。

(3) 保管庫は常に点検し、維持すること。

(4) 救命索は、清拭乾燥後、保管すること。

7 点検・整備上の注意事項は、次のとおりとする。

(1) 点検・整備は、取扱指定者が行うこと。

(2) 本体

 銃口内の清掃は、洗油を用いて洗矢で十分行うとともに、防錆のため油脂を薄く塗布すること。

 発射体が挿入し難いときや銃身に曲がり変形が認められるときは、使用しないこと。

(3) 発射時の衝撃により各取付部分の緩み及びガタが生じやすいので、使用の都度点検すること。

8 発射体使用は、次のとおりとする。

(1) 発射体ロープは、2年ごと又は、100回発射ごと交換する。

(2) 点検の結果、損傷や劣化等がある場合は交換する。

(3) 弾体が装てんしにくい場合は、無理に押し込まないこと。

9 救命索発射銃は、人命救助以外の目的で使用してはならない。

(紛失等)

第7条 銃を亡失し、又は盗み取られた場合には、直ちにその旨を警察官に届けなければならない。

(その他必要な事項)

第8条 この要領に定めのない事項については、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)の定めるところによる。

附 則

この要領は、平成25年7月4日から施行する。

尾三消防本部救命索発射銃取扱要領

平成25年7月4日 本部要領第2号

(平成25年7月4日施行)