収れん火災に注意

1.収れん火災とは

小学生の頃、虫眼鏡で新聞紙を焦がす実験を行いませんでしたか。これは太陽の光が虫眼鏡で屈折し一点に集まる収れん現象によって 蓄熱し、新聞紙が発火温度に達して発生します。この収れん現象によ って発生した火災を「収れん火災」といいます。

収れん火災は、日差しの強い夏場特有のものと思うかもしれませんが、冬場は空気が乾燥しているうえに、太陽の高度が低く、部屋の奥まで日光が届くため収れん現象が発生しやすくなるので特に注意が必要です。

 

2.事例

平成27年2月に日進市内において庭の木製ベンチの上に置いてい たガラス球による収れん現象によって木製ベンチから出火し、住宅の 外壁の一部を焼損した火災が発生しました。

焼損した木製ベンチと外壁

木製ベンチの焼損状況

 

3.燃焼実験

当消防本部において虫眼鏡と直径5cmのガラス球で収れん現象を 発生させ、新聞紙及び木材が燃焼するか燃焼実験を行いました。

 

(1)新聞紙での燃焼実験

虫眼鏡では実験開始直後から少量の煙が発生し、約20秒後には 約1cmの穴が開きました。

 

ガラス球では、実験開始後約1分で煙が発生し、約2分後に新聞 紙が焦げ始め、約5分後には直径約5mmの穴が開きました。

 

(2)木材での燃焼実験

虫眼鏡では開始直後から煙が発生し、約30秒後には木材に直径約1cmの焦げ跡がつきました。

 

ガラス球は転がらないよう指で押さえながら実験しました。実験 開始後、約30秒後に煙が発生し、約3分後には約5mmの焦げ跡がつきました。

 

(3)実験結果

虫眼鏡とガラス球を比較すると虫眼鏡の方が熱エネルギーは強く 早く焦げ、ガラス球は置くだけで焦点が合ってしまいます。

この実験結果から長時間収れん現象が継続すると発火し、火災と なる危険性は十分考えられます。

 

4.収れん火災の予防

収れん火災の原因となるものはガラス球の他にもガラスの置物、凹面鏡、 文字を拡大するルーペ、ステンレス製のボウル、ペットボトルの他、窓  ガラスや車のガラスに張り付けた吸盤等身近なものばかりです。

水を入れたペットボトルを猫よけのために庭先に置いておく行為や 自動車内への放置には注意してください。また、日光が室内のどこま で入り込んでくるかをよく確認して、原因となるものを置かないこと やカーテン等で光を遮ることで対策をしましょう。